モノ好キ 読ミモノ

Literature

処女作

東京大学に通う青年、分度器男(ぶん どきお)は筆箱のジッパーを内側から恐る恐る開けた。
度器男にとっておぞましい光景がそこにはあった。
交際して間もない彼女の、鉛筆削り子(えんぴつけず りこ)が極悪集団ペンシルズのメンバー数人に強姦されていたのだ。
度器男は一歩も動けなかった。声も出なかった。
嫌がる“Rico”に無理矢理挿入するペンシルズ。
HB、2B、3B、4Bと、どんどん挿入されるり子。
「お願い! ゴムだけは付けて!」
と絶叫するRicoに、ペンシルズのリーダーHBがこう言い放った。
「よく見てみな、俺たちの反対側についてるじゃねえか。消し『ゴム』がな!」
爆笑するペンシルズのメンバーを筆箱からじっと見つめることしかできない度器男は自分の無力さを呪った。と、同時に彼女のRicoが次々と襲われる姿を見て興奮している自分に気づいた。
度器男のアソコは120度まで届かんばかりにそそり立って…。


男はそこで小説を閉じた。


直木賞を受賞した男は30年振りに故郷の実家に戻った。
両親は、男が中学生まで使っていた学習机をそのまま残していた。
男が直木賞を受賞した新聞記事や雑誌の切り抜きがその机に貼られていた。
30年振りに学習机に腰掛けおもむろに男は引き出しを開けた。
すると引き出しの中から中学生の時に書いた『文房具恋物語』なる小説が出てきたのだ。
正真正銘の男の処女作。
こんなものが見つかっては手にした地位も名誉も失うのではないかと慌てた男は庭に出て処女作を燃やした。
男は思い出した。
そういえばここでたき火をするのはニ度目だ。
一度目は確か、当時大人気だったAV女優のRicoのヌード写真集が親にバレた時だったっけ。

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